公論サポータ 関西支部の基礎医学研究者でございます。
まず、「よしりん独演会」の応募は、第3回のブログを掲載した翌日に応募締め切り(^^)/
私たち、募集の告知をしている側もびっくりで、嬉しい悲鳴です(≧▽≦)
(応募してくれた皆さま、および告知を協力してくれた皆さまには、改めて感謝申し上げます<(_ _)>
そして、私たちは「よしりん独演会」のために、小林よしのり先生の魅力を何とか伝えるための作品紹介は、もう少し続けます。1つは、私たち関西支部のX告知で、もう1つは、中四国支部とコラボの、この連載で。
今回の作品は…
“異能戦士(1984年連載)”
まず、はじめに懺悔しておきます。自分、リアルタイムの連載で読んでいたとき、この作品のおもしろさを、理解できませんでした~ρ( ̄ε ̄。)で、今回、独演会のためにこの作品を部分的に読み直したのですが、「おもしろいぢゃあないか!」というのが率直な感想で、なぜ子供の頃、これがわからなかったのか?が、悔やまれます(きっと、パカタリだったからだろう( ̄▽ ̄;)、と思うわけですが)。実は、これと似たような経験があって、夏目漱石の作品は、「坊ちゃん」以外は通読できなかったのです。大人になって3度目(30代)になって、やっと「吾輩は猫である」が通読できたような感じでした。これに照らし合わせると、もしかしたら「異能戦士」のおもしろさがわかるためには、読者としての心の準備が必要だったのかもしれません(例えば、「ゴーマニズム宣言」を読みこなすなどの理解力)。
この作品は、当時のマガジンでも主流だった学園ものラブコメにギャクを持ち込んだらどうなるのだろう~?という実験作。小林先生の作品では、美少女が主役という珍しい作品。今回の作品も、週刊少年マガジンを読み続けていたから出会うことができたわけですが、今さらながら、小林先生にとっては、作品のジャンルというものは問題ではなく、表現するためにどのようなジャンルが適しているのか!?ということなのかと、私見では思います。これは、ストーリー漫画とギャグ漫画の違いはありますが、やはり自分、小林先生は手塚治虫と似ているところがある、と改めて思います。
この年のマガジンの連載陣をみると、以前紹介した楠みちはるの「あいつとララバイ」(後に「湾岸ミッドナイト(ヤングマガジン)」)、そしてしげの秀一の「バリバリ伝説」(後に「頭文字D(ヤングマガジン)」)が登場しています。これは、半分、自分の願望が入っていますが、もし小林先生が「ゴーマニズム宣言」を書かずに漫画界に留まって大御所になっていたら、きっと彼らにこんなことをいったに違いない( ̄▽ ̄;)。
「いいよな~君たちは!バイクや車ばっかり描いていればいいんだから~!」
(要は、表現者としての気概は常にある!ということでございます<(_ _)>)
*これは、手塚治虫が当時、水島新司が「ドカベン」でヒットを飛ばしていたことに嫉妬して、パーティーの席上で、「いいよな~君は野球だけ描いていればいいんだから!」という逸話とかぶせました(笑)
前置きが長くなりましたが、ストーリーのさわり。異能力(一見、何の役にも立たず、周りを呆れさせるの能力)を持つ深見知世が、異能力を持つ仲間を集めて、世界征服をたくらむ、恐怖の大王率いる「ですますかブラザース」と対決する、というもの。こう書くと、学園ラブコメに加えて、同時期に話題となった斉藤由貴主演のドラマ、「スケバン刑事(1985年~)」のような秘密結社との対決のようなストーリー漫画のように思われるかもしれませんが、私見ではこの作品、1話完結でつなげていった「ギャグ漫画」という認識です。そして、この作品のおもしろさは、なんといっても“異能力”の表現にあったと思います。これについては、論より証拠。まずは、ご覧くださいませ(関西支部のXで紹介したものとは別のものを載せていますので、そちらもどうぞ)
異能力の代表的な存在、「異能てれぱしー」。このコマから、本当に思考を読み取るのかと思いきや(知世自身は“思考の盗人”と表現している)…
「先生 わたしになにかあいさつをしようとしているわね?」
「お….おおそーだよ」といって,
「そのあいさつとはおはよーだわ!」
「いっ異ノーマルなやっちゃな~~~~っ」
いやあ~(;^_^A)。当時の自分、たぶんこれのおもしろさが、ピンとこなかったのでしょうね。このころ、ちょうどスティーブン・キング原作、ドリュー・バリモア(チャーリーズエンジェルが有名)主演の「炎の少女チャーリー(1984年公開)」や、週刊少年サンデーに連載された、池上遼一の「舞(1985-86年連載)」のような、女子が主人公の超能力を扱った映画とか漫画のほうにはまっていたことは、大いに関係ありそうですね。でも、こうしてみると、存在の怪しい超能力よりも異能力、かなり素晴らしい能力なんじゃ~ないですかね(^_^)。ちなみに、異能てれぱし~!私見では、後に「週刊少年ジャンプ」に連載される「ジョジョの奇妙な冒険、第二部」に出てくる、ジョセフ・ジョースターが好んで行った心理戦。敵に向かって、「次にお前は、XXXという!」(こちらは、ほんまものの予測能力なのですが)といって直後に「XXX!まさか~ゲエー!」みたいな感じのアイディアを、見事に先取りしていたように思います。
あと、個人的には好きな「異能エキサイティング」。いいですね~これは(`・ω・´)ゞ「おおっと~!」で始まり、マイクでマシンガンのようにセリフを放ち、相手を混乱させるという能力。当時、新日本プロレスのアナウンサーで話題となった古舘伊知郎のネタを異能力として表現したのは、びっくりです(それ以外の能力は、へたな解説より「コマ」を見てもらったほうが、良いでしょう)。
なお、異能力についてですが、ほぼ同時期に放映された『装甲騎兵ボトムズ』の最後のシーンで、集合意志体「ワイズマン(自分の理解ではAI生命体)」と主人公キリコの決着がついた後に、狂言回し的な役割のロッチナという指揮官が思わず発した言葉。「お前は、神を殺したんだぞ~!なぜお前は引き継がない…私が…私が、異能者であるならば~」と異能力者が被ってしまいました~(たぶん、たまたまだと思いますケド、小林先生のネーミングセンスは、冴えてますね(*´▽`*)
*その他のことについて
これは、「ですますか(DEATH MASKA)ブラザース」の存在が初めて明らかになったときのコマですが、こういう秘密結社って、目的は大真面目なのですよね?ただ、なんか独善的なところがここにもあって、これはギャグで架空の存在ですが、「カルト」を先取りして小林先生は表現されてていたような気が、自分はします。
(失礼しました(;^_^A、お下劣で<(_ _)>)これは、学園ラブコメによく出てくる、イケメン先輩のキャラで、普段はこよなく世界文学を愛する、好青年(このコマのように、何か変なところから出てくるのは、しっかりギャクとして計算されていますが)。でも、この先輩、実は「ですますかブラザース」の刺客で、漫画をみるとコマのような”お下劣マン”に変身して知世達を襲う、という宿命を持った人物。これを出したかったのは、このお下劣マン、結構すごい活躍をするのですが、自分が興味を惹いたのは、後に少年ジャンプに登場する『究極!!変態仮面(あんど慶周)1992年』の変態仮面にそっくりで、こちらがアイディアを先取りしていたのかと思うと、やはり先見性があったのでは?と思います。
*なお、学園ラブコメもののギャクなので、当然のごとく健全な範囲でお色気エッチなシーンはでてきます。主人公が女子といっても、小林先生が手を抜くハズはありません(笑)。ただ、作品紹介の主旨とは外れるので、ご興味のある方は、原典へ( ̄― ̄)ニヤリ
小林先生、やはりご本人登場の演出は、この作品でも細かいですね。この新聞、面白いのは、小林先生が登場させた古館一郎を、アナウンサーの古舘伊知郎が読んで絶賛し、対談をするまでになったというくだり。こういう細かい内容を発信されるのは、この作品にも後の「ゴーマニズム宣言」につながる軌跡が、自分には見えますかね!?
以上、自分には当時よくわからなかった「異能戦士」の紹介をいたしました。一言でいうと、実験的ではありますが、小林先生の先見性のある野心作だったと思いますが、いかがでございましょうか?
(次回に、続きますが、最終)
(前回分③へ↓)
https://chushikoku.chiho-gosen-dojo.com/2023/09/11/